年内0.5%利下げを織り込まれている米ドル
昨日は米大手証券会社であるメリルリンチの決算発表が行なわれ、事前発表を上回る79億ドルの損失をサブプライムローンに絡んで計上していることから、昨晩の米ダウ平均株価は一時200ドル近い下落となっている。
しかしその後、8月に引き続く緊急的な米公定歩合の引き下げの噂が流れたことをきっかけに株価は値を戻しており、為替市場もドル円で一時114円を割り込む場面があったものの、その後は114円台を回復する流れとなっている。
来週水曜日には米FOMCが開催される予定となっており、ここでは0.25%の利下げにより4.75%のFF誘導金利が4.5%へ変更されることは市場の多くが既に織り込んでいる。
また、年内では12月に更に0.25%の利下げも見込まれており、年内の米金利は4.25%まで下落する予想が多いと言える。
また、一部では今回のFOMCで0.5%の利下げを行うのではないかとの思惑もあり、金利差を狙ったキャリートレードでは米ドルに関しては市場の興味は薄れ始めている可能性が高いと言える。
反対にユーロ圏では依然として利上げ機運が高く、年内0.25%利上げの可能性が高く、また豪ドルについても最近のインフレ指標の高まりに利上げの可能性が高いといわれている。
金利差を取りに行くキャリートレード取引が今後も活発であるならばユーロ、あるいは豪ドルに対する買い意欲は依然として強いと思われるがサブプライムローン問題によって為替市場の変動率が高まっており、また長期的に見て2000年代に入り一貫して売られてきた円もそろそろ買い戻しの時期が近づいている可能性も高いように見える。
一方的な円買い戻しのステージ入りにはまだまだ時間が掛かると思えるが、短期的な相場として円クロス全般的に円買いの動きが出てもおかしくない時期に来ているのではないか。
今年に入り円買い戻しが入る可能性を何度もここで書いてきたものの、結果として円買い戻しは限定的となっていたことから、狼少年的なコメントであることは確かであるが、相場が一方的に動くことは通常あまり無い。
相場は参加者の心理を反映して上下動を伴って動くものであり、格言的には「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑と共に育ち、楽観の中で消えていく。」と言われている。
サブプライムローン問題を楽観から悲観への転移とすればこの円安大相場は終わっている可能性が高いと言える。
また米国や新興国の株式についても終わりに近い状態かもしれない。
いわゆる為替相場のプロと言われる連中は積極的値幅を取りに行くことを主眼に置いて取引を行っており、大きな相場展開を心待ちに待っていると思われる。
またプラザ合意世代と言われるディーラー達は下げ相場でいい思いをしている関係からか、ドルを売るときには思い切って入る特徴がある。
先週書いたポンド円などはあっさりと235円を割り込んでおり、実際に円高中相場程度の可能性はかなり高くなっているのではないか。
今まで基軸通貨として米ドルは確固とした地位を世界に示していたが、ここにきて米国の景気減速感が高まっていることから、資金の米国離れが既に起こっている。
しかし日本円はドルペッグ制のようにドルとのリンクは強まっているが、日本経済への楽観論が高まると共にドルの呪縛はそろそろ解けてもいいのではないか。
年内の日銀利上げの可能性は世界情勢のなかでかなり低いといえるものの、年明けには正常な金利を目指して利上げを再開すると見られている。
来年に向けて利上げ後も金利差は依然として広いものの、日本経済の自律性を見込んでの懐疑から楽観への転移も始まるのかもしれない。
G7前後の相場展開
思わず、G7前後の相場展開とお題目に書いてしまったが、今回のG7では為替に対する言及があるのか、無いのかかなり不透明感を感じざるを得ない。
市場関係者の多くは今回のG7では為替について議題として話し合われるものの、声明として何かしら目新しいものが出る可能性は極めて低いというのが大方の予想となっている。
8月のサブプライムローン問題によって判明した世界的なバブルは日本などの低金利国を中心として投機的な資金を産む環境を作り出していた。
その後は資源価格の高騰により各国はインフレ退治の為に利上げ競争を行なってきたが、8月のサブプライムローン問題発覚により米国の利下げ、欧州は年内0.5%の利上げと言う声も多かったが、ここにきて年内1回の0.25%利上げが順当な線となりつつある。
豪州についても同様で年内0.25%の利上げが現在の市場の予想となっている。
元来、市場では欧州中銀の利上げは年内0.5%を見込んでおり、政策金利は4.5%程度、来年夏前には米金利と同等のレベルとなることを織り込んでいたが、米国の問題により、年内の利上げは0.25%に留まり、年明けの金利変更についても不透明感が出ていることから既に織り込んでいると思われるドル、ユーロ間の金利差縮小あるいは逆転の時期が先延ばしされる可能性が出ている。
米国は年内0.25%の利下げを行い4.5%の政策金利は既に織り込まれており、金利差という面ではドルが0.25%高い状態は織り込まれていると思われる。
明日から始まるG7では欧州域内でもフランスやイタリアなどからユーロ高懸念が出ており、10月初旬時点では今回のG7においてドル安、あるいはユーロ高に対する懸念を声明として盛り込むものと思われていた。
しかし、その後ECBやドイツから依然として為替相場は市場で決まるべきとの前提を踏襲した発言が続いたことから、フランスからの発言についてトーンダウンしたように見受けられる。
しかし、8月以来株式、為替などの市場は不安定さを増しており、各国経済の不透明感が漂っていることは確かである。
G7において為替問題を声明として盛り込めるかどうかは難しいものの、今回のG7でドル安あるいはユーロ高を抑えるなんらかの話合いは行なわれる予定であり、そのことが漏れ伝わってくるとユーロドルを売る動きが強まる可能性が高いと言える。
G7において主要国通貨の為替が議題として上ることは久しぶりと言ってよく、その意味では為替市場は大きな変動を伴う動きにつながりやすい。
もちろん、変動するとすればユーロ高の調整、ドル安の調整となり強いては円安の調整につながる可能性も高いと言える。
最近は週末と週初の価格差が大きく出ることは少なくなってきているが、今週は特に注意したいものだ。